2020年10月12日 [新着情報]
勝手にブログドラマ|第三話「雫と窓(前編)」|那覇市貸し会議室《Brilliant Port(ぶりりあんとぽーと)》
![晴れの緑地公園 晴れの緑地公園](/dataimge/1602498205.jpg)
皆様
こんにちは!
BRILLIANTスタッフの新城です('◇')ゞ
やってきました!好評(?)につき・・・
「勝手にブログドラマ」第三段!!✨👏(拍手‼)✨
※私が本当に勝手にやっているので、不定期更新になります<(_ _)>💦
「会議室」を中心に、様々な人物のミニストーリーをお届けします♪
どうぞ、お時間のある方はお付き合いくださいませ!
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※本物語はフィクションです。そのため、登場人物や団体など全て架空上の存在となります。
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第三話【雫と窓(前編)】
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【画像】
「基礎練開始!始めは、ロングトーンから!」
19時を過ぎた体育館に、一斉に音が鳴り出す。
今度、地元の学生向けに開催される演奏会がある。
そこで演奏するジャズが、ここ数ヶ月の練習メニューだ。
市民吹奏楽団の団員、20代から50代までの
男女30名前後が集まった、小学校体育館に
いろんな音色が響く。
私の担当楽器はトランペット。
一番の花形と言っても過言ではない。
演奏する曲はスウィング・ジャズの名曲
「Sing Sing Sing」
入団して1年、初めてソロ演奏を任された。
(先輩方の足を引っ張らないようにしなくては。)
(子供たちに、ステキな演奏を聴いてほしい。)
プレッシャーが鉛のように重くのしかかる。
基礎練習をみっちり1時間こなし
パート練習では、ソロの部分を何度も
黙々と繰り返し練習する。
![A A](/dataimge/1602498309.jpg)
「10分休憩後、合奏に入るので、用意お願いします!」
団長の合図で、それぞれ椅子を移動し
合奏隊形の準備をする。
椅子を移動し終えると、隣に座った
パートリーダーの具志堅さんが話しかけてきた。
「金城ちゃん!お疲れ様〜!調子はどう?」
「なんとか大丈夫です。」
「個人練習はいい感じ?」
「多分・・・。はい、頑張ります。」
![B B](/dataimge/1602498346.jpg)
「それでは、合奏を始めます。宜しくお願いします!」
「お願いします!」
30人前後の様々な声色が、きっちり揃って挨拶する。
「まずは、3曲通します。」
団長が手を挙げると、それが合図となり合奏が始まる。
全ての曲を演奏し終えたところで、直しが入る。
「それじゃ気になるところからやっていくね。
まずは、21小節目から・・・。」
譜面に書かれた記号を元に、演奏に色をつけていく。
「ここのフォルティッシモは、重たい感じで!
そうだなー・・・。4tトラックをクレーンから落とす感じ!」
(爽やかな笑顔で、とんでもなく恐ろしい事を言っている。)
「それと、トランペットのソロ!
だいぶ良くなったけど、もう少し色をつけたいなー。
真面目すぎるんだよね〜。ジャズなんだしもっと遊んで!」
「遊ぶ、ですか?どんな感じでやれば・・・。」
「なんていえばいいかなー。もっと、くだけて!」
「えっ・・・」
団長の、この理解に苦しむ要求について、続けて質問しようとしたが
これ以上、貴重な合奏の時間を取るのはやめようと思い、口を紡ぐ。
音楽教員をしているとは思えないほどの、語彙力。
教え子の学生は、さぞかし大変だろう。
隣の具志堅さんが、わかるかわからないかぐらいの絶妙な苦笑いをする。
そのまま、各パートや全体的の細かい直しがあり
何度か曲を通して、その日の練習が終わった。
![C C](/dataimge/1602498370.jpg)
帰り道の運転中、今日言われた事を思い出し、考える。
(ジャズが一番苦手なジャンルなのに
よりにもよって、ソロ演奏なんて・・・。)
初めて体感するスランプ。
音の強弱やチューニングもきっちり合わせて
譜面通りに演奏しているのにも関わらず
何が足りないのだろうか。
これまで、楽譜を忠実に進行してきた私にとって
「くだける」「遊ぶ」といった奏法は、全くイメージできない。
考えれば考える程、底のない大きな沼に沈んでいく。
![D D](/dataimge/1602498394.jpg)
地域のお祭りで、地元学生吹奏楽部の
ステージをたまたま見かけたのが
私の音楽人生の、始まりである。
その時の衝撃たるや
今でも鮮明に脳裏へ焼き付いている。
ガヤガヤとした雑踏の中
演奏が始まると、行き交う人の足を停め
会場にいた殆どの人々の視線と耳を奪っていた。
金色や銀色の塊から、こんなにも
素敵な音色が鳴っている事が
不思議でたまらなかったのと同時に
私も、こんな風にたくさんの人に注目されたいと思った。
![@ @](/dataimge/1602498245.jpg)
中学生に上がって、すぐに吹奏楽部へ入部。
音楽にのめり込んでいった。
進級していくにつれ、プロの演奏家を
夢見た頃もあったが、突出した才があるわけでもなく
早々に諦め、大学卒業後は一般企業へ就職した。
ただ、どんな形であれ
演奏する事は続けたかったので
たまたまSNSで見かけた市民吹奏楽団の募集に
応募したのが、ちょうど1年前。
何気なしに、これまでの
私の音楽人生を振り返っていると
自宅駐車場に到着していた。
![E E](/dataimge/1602498482.jpg)
誰もいない、殺風景な自宅へ入ると
リビングのソファーに倒れこむ。
(こんな調子で、本番までにどうにかできるのか。)
いろんな事を考えすぎて
脳みそが疲弊しているのがわかる。
明日も仕事だし、もう眠ろう。
![F F](/dataimge/1602498510.jpg)
翌日のランチ時間、パートリーダーの
具志堅さんからメッセージが届いていた。
「来週の土曜日、空いてるかな?」
「空いていますよ!」
「他団体さんとの座談会があるんだけど
良かったら、一緒にどう?」
具志堅さんからの誘いは、返事に迷った。
正直、座談会なんてしている暇があれば
練習に没頭したいところである。
ただ、具志堅さんには
入団当初からお世話になっているので
せっかくの誘いを断るのは申し訳ないと思えた。
(まぁ、空いてるって返しちゃってるし
ちょっとだけなら、参加してみようかな。)
![F F](/dataimge/1602498550.jpg)
時間はあっという間に過ぎ
気づけば、座談会当日になっていた。
しとしとと小雨が降っている。
私は20分前に会場へ到着した。
どうやら一番乗りらしい。
具志堅さんへ連絡すると、他の参加者が
全員知り合いで、乗り合わせているらしく
あと10分程で到着との事だった。
(私がすごく楽しみにしてて
早く来たみたいになっている・・・。)
![エントランス エントランス](/dataimge/1602498645.jpg)
会場となっている、レンタル会議室のフロアに行くと
カフェ風のお洒落な内装が特徴的な
エントランスホールで待つように案内された。
しばらくして、具志堅さん一行も到着した。
具志堅さんに連れられて2名いたが
お二方とも女性で、一人は具志堅さんぐらいの40代前後。
もう一人は、私と同世代ぐらいの方だった。
どちらも初めましてだったので
軽めに挨拶を交わしところで
ちょうど入室時間となった。
通された部屋は「マーガレット会議室」。
![マーガレット会議室 マーガレット会議室](/dataimge/1602498678.jpg)
会議室と呼ぶのに、とても違和感のある
テーブルにソファーが囲まれた部屋だ。
「ここ、とても素敵でしょ〜!
Instagramで見つけちゃった!」
どうやら、この企画やセッティングは
具志堅さんが幹事らしい。
部屋に入り、具志堅さんが進行役になって
自己紹介から座談会が始まった。
ただ、私の頭の中は、練習の事でいっぱいで
相槌を打ちながら、ぼーっとしていた。
時折、みんなの甲高い笑い声で
我に返り会話の中へと戻る。
お二人も別々の団体で、具志堅さんとは
共通の知り合いを通じて、交流が始まったそうだ。
具志堅さんと同年代ぐらいの
比嘉さんは、サクソフォン。
私と同年代で比較的大人しめな
城間さんは、トロンボーン担当との事。
それぞれすごい経験値で
この中に私がいる事が申し訳なく思えてきた。
しばらく他愛ない世間話が続いたところで
みんながお手洗いに行き、部屋に一人きりになった。
![ソファー ソファー](/dataimge/1602498724.jpg)
具志堅さんが、先に戻ってくると
私に話かける。
「金城ちゃん、急に誘ってしまってごめんね。
今日は来てくれてありがとう。」
「練習、うまくいかない?」
「はい。譜面通りにやってて
遊ぶとか、くだけるとか、、
そういった事がよくわかんないんです。」
そう言って、私はなんだか
アンニュイな気分になって
窓を見ると、さっきよりも強く雨が降っていて
ガラスの先の世界がぼやけていた。
![窓 窓](/dataimge/1602498776.jpg)
普段は、真っ直ぐな線として見えているはずの
ビルの輪郭や、電線も、私の心情を表しているかのように歪んで見える。
刺々しかったり、曲線だったり。
どれだけ目を凝らしても、焦点が合うわけもなく
ただ、ぼんやりとした風景だけが、そこにある。
時々、私の気分と比例するように
窓に落ちてきた雨の雫たちが垂れ落ちる。
斜め下の雫達と合体し、落ちる。
どんどん合体しては落ち、合体しては落ちて見えなくなっていく。
ぼーっと眺めていると、雫の一粒一粒に
私の不安やプレッシャーが情景となって映し出されていた。
団長や、具志堅さん、楽団員の先輩方や
本番を楽しみに待ってくれている友達や家族。
いろんな人の、感動している表情も見えたかと思えば
この程度のものかと云わんばかりの顔が
雨粒の雫たち一粒一粒に、鮮明に浮かび上がってくる。
![窓A 窓A](/dataimge/1602498810.jpg)
しばらくしてすぐに、二人も戻ってきた。
「あら、金城ちゃん元気ないね?」
「お仕事、大変なんですか?」
具志堅さんが、すかさず返す。
「違うのよー。金城ちゃん、入団して間もないのに
私が、ソロ演奏お願いしちゃったから
すごいスランプに落ちちゃったみたい。」
「いえ、具志堅さんのせいでは・・・。
私の演奏技術が足りないだけです。」
「金城さんは、ジャズがお嫌いですか?」
「嫌いというか、苦手です。
譜面通りにやっていても、違うようで・・・。」
比嘉さんと、城間さんに
このモヤモヤした気持ちを話すと
二人ともスマホを取り出し、何かを検索し始めた。
![動画 動画](/dataimge/1602498842.jpg)
「これ、見てみて」
そういって、見せられたのはひとつの動画だった。
▷▷▷続く
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※本物語はフィクションです。そのため、登場人物や団体など全て架空上の存在となります。
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今回はちょっとした交流会やワークショップルームとしてもお問合せが多い
「マーガレット会議室」が舞台のお話です( *´艸`)
いったい、主人公の金城ちゃんは
何の動画を見せられたのでしょうか・・・!
第三話【雫と窓(後編)】は、近々公開予定です!
次回の更新まで、お楽しみにお待ちください('◇')ゞ
それでは、皆様
今週も張り切って頑張りましょう☆彡
新城